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豊田会長 年頭所感

明けましておめでとうございます。旧年中は格別のご支援とご協力を賜り、誠にありがとうございました。今年も宜しくお願い申しあげます。 

かつて世界2位の経済大国だった日本は、人口減少・少子高齢化、AIやIoT技術等の進展といった変化に対応しきれぬまま、欧米から遥かに引き離され、アジア諸国に飲み込まれようとしています。社会構造・産業構造が大きく変化する中、産業政策、労働政策、都市整備、社会保障、教育など各分野において、これまでの仕組みは多くの矛盾をはらみ、制度疲労を起こしています。

こうした問題を先送りし、長期にわたる社会の停滞、経済活力の低下を招いている「日本病」に、わが国は未だ処方箋を見つけられないでいます。日本経済の再浮上には、行政、産業界、教育界、そして市民が、ともに未来図を描くことが欠かせません。

いま私ども中経連が取り組むべきは、将来を見据えた長期的視点、世界で生き残るためのグローバルな視点での活動であり、昨年4月、事業の選択と集中を図り、新たな委員会体制をスタートしました。会員の皆様のご協力により委員会は活発化しており、変化が浸透しはじめたと感じています。今年さらに活動を推し進める3つの重点テーマを申しあげます。

1つ目は、中部圏創生の羅針盤となるビジョンづくりです。リニア中央新幹線の開業は、国土構造を変化させ、人々の生活や価値観さえ変える可能性があります。このインパクトを生かし、東京圏、関西圏と異なる個性を磨き、地域を鍛えることが重要です。
活発なイノベーションと厚い産業集積、それを支える知の集積、災害に強い防災先進地域、こうした個性を磨きあげることで、世界から当地にヒト・モノ・カネ・情報が惹きつけられ、流れ込み、「対流」が生まれます。対流により外から力を取り込み、中部圏は一層強くなります。

2つ目は、イノベーションの促進です。中部のものづくりが世界をリードし続けるには、ICTを大いに活用 して既存産業の徹底強化を図るとともに、新産業・新たなビジネスモデルを産み出すイノベーションが必要 です。ただし必要性の議論は既に尽くされています。いま大切なのは議論ではなく具体策の実行です。
中経連は今年、情報発信による機運醸成、担い手の拡大、異分野融合を促す場づくりなど、具体的活動を 開始します。新たな価値・ビジネスの小さな核が生まれ、改善を重ねて大きく育つよう支援します。

3つ目は、中部の未来を拓く人材の育成です。先が見通せない時代、最優先すべきはどんな時代にも通用する基礎力を子供たちに身に着けさせることであり、リーダーや高度な専門性を持つ人材の計画的育成も欠かせません。当地にはものづくりの現地・現物があり、身近に歴史や文化、自然環境も残っています。 こうした資源を生かした人材育成を、産学官に働きかけ、一つずつ実行に移してまいります。

「日本を動かし、世界をリードする中部圏」を目指し、経済界自らが「まず声をあげる」、スピード感を持って「とにかく動く」の基本姿勢で、皆様とともに、この一年の活動に取り組んでまいります。引き続き、ご支援・ご協力をお願い申しあげますとともに、今年が皆様にとって素晴らしい年となるようお祈り申しあげます。

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