2026.10.5
プレスリリース / 会長コメント
本日、第17代中経連会長に就任しました柘植でございます。
本日はお忙しい中、お集まりいただき、ありがとうございます。
このたび、予期せぬ急な交代の中、中部経済連合会の会長という重責を担うこととなり、身の引き締まる思いです。歴代会長をはじめ、諸先輩方が築いてこられた中経連の歩みをしっかりと受け継ぎ、中部圏のさらなる発展に向けて、その責任を果たしてまいります。お引き受けした以上、社会人生活の「最後のご奉公」との思いで、悔いのないよう、中経連の活動に全力を傾注する覚悟です。また、勝野前会長には、当地の発展に多大な貢献をされ、心から敬意と感謝を申し上げます。
少し時間をいただき、中部の置かれた状況と、これから進むべき方向について、私の思いをお話しします。
スローガン的に言うと
「中部を強く、日本を強く」
-強みを磨き、新しい強みを創る-
ということです。
具体的に、7点お話しします。
1.豊かな中部だからこそ、今こそ次の成長へ
まずは、「豊かな中部だからこそ、今こそ次の成長へ」についてです。
中部は強いです。
中部5県の製造品出荷額は全国の約3割を占め、自動車、航空宇宙、工作機械、ロボット、セラミックス、素材など、世界に誇るものづくり産業と、それを支える層の厚い企業が集積しています。これは、厳しい国際競争や幾多の経済危機を乗り越え、技術力、品質、現場力を磨き続けてこられた企業、経営者、そして働く皆様の努力の積み重ねであり、改めて深い敬意を表したいと思います。
そして何より暮らしやすいです。名古屋は東京と大阪の中間に位置し、新幹線、高速道路、港湾、空港など交通・物流インフラにも恵まれています。住宅コストや通勤時間などの面でも暮らしやすいです。まさに、「産業の強さ」と「暮らしの豊かさ」を併せ持つ地域です。しかし、豊かであるがゆえの課題もあります。
堅実であることは中部の良さですが、「今のままでも大丈夫」という意識が生まれ、「攻め」より「守り」が強くなってはいないかと思います。これまで強かったから、これからも強いとは限りません。人口減少、人手不足、DX・AI、GX、地政学リスクなど、取り巻く環境は急激に変化しています。「豊かであることが、挑戦しない理由になってはいけない」と思います。今ある強みをさらに磨きながら、新しい強みを創るなど、今は、中部がさらに飛躍できるかどうかの大きな「分水嶺」だと思います。
2.「守りから挑戦へ」「蓄えから投資へ」
2番目は、「守りから挑戦へ」「蓄えから投資へ」です。
日本はバブル崩壊後の長い低成長の中で、企業は投資や賃上げに慎重となり、「守り」を優先してきました。その結果、日本の成長力や国際競争力が低下したことを、私たち経済界自身も反省しなければなりません。しかし今、潮目は変わりつつあります。
政府も戦略分野を明確にし、AI・半導体、航空・宇宙、GXなど、将来の成長につながる分野への官民投資を進めようとしています。中部にとって、これは大きなチャンスで、今こそ、「守りから挑戦へ」「蓄えから投資へ」、攻める時です。設備、研究開発、DX・AI、新事業、そして人材に果敢に投資し、半導体、航空宇宙・防衛、次世代モビリティ、ロボット、GXなど、新たな成長分野を育てていくことが重要です。
そのためには、企業、大学、行政、スタートアップ等の連携は欠かせません。「失敗すること」より、「挑戦しないこと」の方が大きなリスクです。中部から、新しい挑戦を次々と生み出していければと思います。
3.経営トップの判断が重要
3番目は、「われわれ経営トップの判断が重要」ということです。
人口減少、DX・AI、GXなど、これだけ大きな変化が同時に起きる時代に、これまでと同じことを続けているだけでは後退です。設備投資、研究開発、DX・AI、新事業、人への投資、若者や女性の活躍。いずれも、これまでの延長線上にない判断が伴います。
その意味で、問われるのは、われわれ経営トップ自身の危機感、将来へのビジョン、そして「会社を変える」という強い意志だと思います。これまで築いてきた中部の強みを大切にして、変えるべきものは大胆に変え、その積重ねが企業を変え、地域を変え、日本を変えていくと思います。
4.「ものづくりの中部」から「実装の中部」へ
4番目は、「ものづくりの中部」から「実装の中部」への進化です。
中部には、世界有数のものづくり企業、中堅・中小企業、大学・研究機関、優れた技術と人材があります。そして何より、新しい技術を実際に試し、磨き上げることのできる「ものづくりの現場」があります。AI、ロボット、自動運転、半導体、航空宇宙、水素など、新しい技術を研究開発だけで終わらせてはいけないと思います。中部を実証・実装のフィールドとして、新しい技術をいち早く「使い、育て、産業にし、そして全国へ、世界へ展開していく。政府が進める産業クラスターについても、半導体や航空宇宙・防衛、水素アンモニア、更に次世代自動車、モビリティなどの分野で、国と一緒になって積極的に取り組んでいきたいと思います。
中部を強くすることが、日本を強くすることにつながります。
5.人への投資 ―「残ってもらう」から「選ばれる」へ
5番目は、人への投資です。
人はコストではありません。企業と地域の未来をつくる最大の資産です。人への投資こそ、最も重要な成長投資だと思います。
人口減少による人手不足は、一時的な問題ではないので、DX・AIやロボットを積極的に活用して生産性を高め、AIに任せられる仕事は任せ、人はより創造的で付加価値の高い仕事を担うことにする。そのためのリスキリングや人材育成が重要です。また、若者や女性には「残ってもらう」のではなく、「選ばれる」地域にしなければなりません。「ここで働きたい、ここで暮らしたい」と思ってもらえる企業、地域へ変わらなければなりません。女性が働きやすい環境を整え、登用を進める。若者にも、年齢や年次にとらわれず、責任ある仕事と挑戦する機会を与える。シニアを含め、多様な人材が能力を発揮できる環境を整えることが必要です。企業の発展の大前提は、働く人がやりがいを感じ、満足感を得ているかどうかです。
6.「県境を越えて、中部の力をつなぐ」
6番目は、県境を越えて中部の力を繋ぐ広域連携です。
中部5県が、それぞれの産業、大学、人材、技術、インフラなどの強みを持ち寄り連携すれば、一県ではできないことも、5県の力をつなげばできると思います。中部全体の産業競争力を高め、人、企業、投資を国内外から呼び込んでいきたいと思います。半導体も、航空宇宙も、観光も、防災も、一つの県だけでは完結しません。そのつなぎ役を、中経連が果たしていきたいと思います。
そして、その基盤となる道路、鉄道、港湾、空港などの社会インフラの整備も着実に進めなければなりません。南海トラフ巨大地震への備えは喫緊の課題で、危機感を一段と高め、BCPが形式的になっていないか、官民が協働して、その有効性を確認することが必要です。
7.力をつなぎ、挑戦を引き出す中経連へ
7番目は、「力をつなぎ、挑戦を引き出す中経連へ」です。
地域や会員の皆様の声を集め、中部の進むべき方向を示し、その声を「ワンボイス」として国への政策提言につなげます。また、企業、大学・研究機関、行政、スタートアップなどをつなぐ「プラットフォーム」を創出し、国や自治体とも緊密に連携しながら、新しいプロジェクトや社会実装につなげていきたいと思います。
しかし、中部を発展させる主役は中経連ではありません。主役は、一社一社の企業です。一社一社が成長し、その積み重ねが中部を成長させます。
中経連は、「地域の力をつなぎ、企業や人の挑戦を引き出す役割」を全力で果たしてまいります。
最後になりますが、
中部には、世界に誇るものづくりの力があります。
挑戦する人と企業が育つ中部
イノベーションを起こす中部
世界で競い、今後も日本の成長に貢献する中部
を目指し「中部をもう一段強くしたい」と思います。
「最後のご奉公」との思いで、全力で取り組みます。
