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提言書「カーボンニュートラルの実現に向けた経済社会の変革」を発表(1/31)

中経連は、1月31日(月)に開催した総合政策会議において、経済委員会、エネルギー・環境委員会(両委員長:勝野副会長)が合同で取りまとめた提言書「カーボンニュートラルの実現に向けた経済社会の変革」を承認し発表した。
今後、中部圏として実践すべきことに対し、産学官で連携して主体的に行動していくことを呼びかけるとともに、政府・与党、関係国会議員、経済産業省、環境省をはじめとする関係省庁、国の出先機関、自治体、大学、経済団体等、関係各方面に提言していく。提言書の内容は以下の通り。


〇策定の経緯
・カーボンニュートラルを巡る世界および日本の様々な動きが加速している。カーボンニュートラルの実現には、エネルギー・環境政策にとどまらず、産業政策・成長戦略での対応も必要であり、経済社会の変革が不可欠との認識のもと、両委員会で提言書をまとめた。
・国全体の包括的なロードマップは示されていないものの、中部圏として行動を始めるため、本提言書の目的を「2050年日本のカーボンニュートラルの実現に向けての中部圏の社会経済活動全体の戦略の方向性を打ち出す」こととした。

〇提言書のコンセプト
・カーボンニュートラルの実現に向けた経済社会の変革のための取り組みとして、「イノベーション・産業構造の転換」、「自立・分散かつ循環経済型社会の形成」、「デジタル化・DX推進」、「人材投資・育成」、「意識変革・行動変容」の5つを選定した。
・このうち、「イノベーション・産業構造の転換」と「自立・分散かつ循環経済型社会の形成」が、カーボンニュートラルの実現に直接働きかける取り組みとなるが、それらは「デジタル化・DX推進」により実現可能となる。また、「人材投資・育成」および「意識変革・行動変容」はすべての活動の根底をなすものである。
・5つの取り組みに、2つの課題(「ポストコロナに向けての課題」、「脱炭素に向けての課題」)と、「中部圏の特性」を掛け合わせ、具体的に「中部圏の取り組みの方向性」としてとりまとめた。

〇取り組み方向性の2つのポイント
・「社会実装の強化」と「人材投資・育成」の2つ。
・「技術で勝って市場で負ける」 ことを断ち切り、研究開発・イノベーションを他国に先駆けて社会実装につなげていく。そのためには、国が戦略分野を定めて重点的な支援や官民の思い切った投資を行うとともに、ルールや基準・規格等について国際標準をいち早く獲得することが重要となる。
・地域においては「産学官をつなぐ人材」の育成のため、産学官で連携したローテーション等の取り組みが求められる。
・加えて、大学も含め社会全体が、基礎研究に加え応用研究や社会実装プロセスを積極的に評価・称揚する姿勢に変わる必要があり、我々自身の意識変革・行動変容が求められている。
・人を中心に据えた新しい資本主義において、企業価値の向上には、人材およびその人材が生み出す価値が決定的に重要となる。中長期的な企業価値の評価が変わり、こうした面からも企業行動の変容が求められている。
・企業には、既存事業領域から新規事業領域への人材のシフトを進め、従業員の能力や多様性を引き出すことが求められる。

〇できることから始める
・政策の具体化を待つのではなく、中部圏としてできることから行動を始める。代表例として以下に取り組む。
①需要側を含む幅広い産業の連携による水素社会の構築と水素関連産業の振興
②CO2吸収源となる中部圏の豊かな森林資源の維持・再生と木材の利用促進を図り、持続可能な循環経済型社会の形成につなげていくこと
③マイクログリッド構築に資する地域での脱炭素への取り組みの推進

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