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第1回産業・技術委員会(10/10)

産業・技術委員会は10月10日(火)、第1回会合を開催し、委員長の寺師副会長をはじめ50名が参加した(講演会は約520名が聴講)。

寺師委員長(トヨタ自動車(株) Executive Fellow)の挨拶に続き、事務局より次世代モビリティ振興に関する活動報告を行った。後半は、CAMIP(中部先進モビリティ実装プラットフォーム)と共催で講演会・トークセッションを実施し、寺師委員長が「電動車を正しく理解しよう」と題した講演を行った。トークセッションでは、名古屋大学未来社会創造機構教授の森川高行氏がファシリテータとして登壇し、寺師委員長と電動車(以下、EV)の今後について討論した。

委員会活動報告
委員会では、次世代モビリティ振興を目指した活動の3本柱「COI-NEXT(※1)」「CAMIP」「Map-NAGOYA(※2)」における今年度の活動状況を報告した。また、2022年度作成した中部圏モビリティプロジェクトマップの現状を共有し、各地で次世代モビリティに関するさまざまなプロジェクトが活発化していることに加え、自動運転の社会実装が進みつつあることを報告した。

講演会
テーマ:「電動車を正しく理解しよう」
講師:トヨタ自動車(株) Executive Fellow 寺師 茂樹 氏
はじめに、寺師氏は「EVのひとつであるBEV(バッテリー式自動車)の航続距離がなぜ短いのか」という質問に対して、「BEVの燃費は、ガソリン車と比較すると3倍良いが、電池のエネルギー密度が非常に低く、ガソリン車の6分の1程度のエネルギーしか搭載できないため、航続距離が半分になってしまう」と解説した。また、BEV用の電池の製造ラインに必要な莫大な投資や資源問題などもあり、BEVだけではなくFCEV(※3)やe-fuel(※4)などのあらゆる技術・手段から、カーボンニュートラルにアプローチする『マルチパスウェイ』が必要である」と訴えた。
競合他社の取り組み事例では、テスラの車載電池を常時モニタリングする技術やOTA(※5)を用いて車のソフトウェアを随時アップデートする新機能のテスト・評価を紹介。その上で、同社の開発や品質管理が従来のOEMとはまったく異なる思想で行われていることを述べた。
最後に、トヨタ自動車が進めるBEVに合った生産ラインや2027年をターゲットに開発を進めている全固体電池などについて紹介した。

トークセッション
冒頭、森川氏からの「中国は国家戦略としてBEV化を進めているため、デファクト・スタンダードをとられるのではないか」という懸念に対し、寺師氏は「中国ではBEVだけでなくPHEVも伸びている。BEV一辺倒ではなく、全体の動きを見る必要がある」と回答。続いて、「BEV化が進めばガソリン税収が減る。道路を維持する財源を確保するためには、BEVからも税金を取る必要があるのではないか」という質問に対しては、「単に方式を入れ替えれば良いというものではなく、BEV購入時における高額な補助金のあり方などを併せて考えるべき」など、活発に意見を交わした。

最後に、寺師委員長は「本イベントを通じて多くの参加者と多様な意見交換ができたのは大変良いこと。今後も継続的に実施していきたい」と講評し、会を締めくくった。

※1 文部科学省/科学技術振興機構(JST)の「共創の場形成支援プログラム」
※2 モビリティ関係の新技術や研究テーマを広く発信し産学官交流やマッチングを加速することを目的に2022年に立ち上げたプロジェクト。
※3 水素と酸素で発電する燃料電池が搭載されているEV。
※4 二酸化炭素と水素を原料として合成する石油代替燃料。
※5 ソフトウェアのアップデートを、無線通信ネットワークを介して行う技術。

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