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フューチャーコンパス第19回講演会「イノベーションで危機を乗り越える」(10/30)

(一社)中部圏イノベーション推進機構(会長:水野明久 中経連会長)は、10月30日(金)、情報提供プログラムのフューチャーコンパス第19回講演会をオンラインで開催し、約65名に参加いただいた。
講師として、BCG Digital Ventures Managing Director & Partner,Japan Head 平井 陽一朗 氏を迎え、「イノベーションで危機を乗り越える」と題して講演を頂いた。

【講演要旨】
1.イノベーションか衰退か
新型コロナウイルスの影響により、働き方やデジタル化など、社会変化のスピードが一層加速している。この社会環境の変化の激しい時代にあって、イノベーション機能の重要性がより高まっている。実際に「イノベーションに優れた企業」と一般的な企業の株主総利回りの推移を比較すると、この10年余りで5%以上の差がついている。
残念ながら、イノベーションを評価された企業50社に含まれた日本企業は、2020年は3社のみだった。しかし、長く生き残ってきた日本企業が、数々の危機を乗り越えて今も存在しているのは、時代に応じて変化してきたからこそである。大企業は保守的でイノベーションが起きにくいという先入観を持たれがちだが、大企業でも変革を起こす素地はある。但し、デジタル時代のイノベーションには、新たなキーポイントがいくつかあり、実現のためにリーダー層が担う役割は大きい。

2.時代をとらえたケイパビリティの獲得
今の時代にあったイノベーション創出には、デジタル技術は絶対必要条件であり、リーダー自らがデジタルリテラシーを身に付けなければ、戦略をはじめビジネスモデルや組織を変えることはできない。話題のアプリを自身で試すことや、相談相手としてその道の専門家と知りあうことも一つの方法である。
また、事業においては、デジタル化などについて「まずは社内でやってみる」という企業が多いが、最終的に基幹技術を内包化するステップとして、デジタル化の推進はむしろ初期段階こそスピードとコストの要因から外部の力を借りるのに適している。デジタル時代の技術獲得には、アクハイヤー(買収による人材獲得)によりスキルを持つ人材を取り込むのも一つの方法である。
特に日本のICT投資額は、アメリカと比較して約4倍も差をつけられている。内部で積み上げ資金を不胎化してしまうのではなく、市場の迅速な変化に対応するために、積極的に投資すべき時期にある。

3.戦う土俵を明確にし、大企業の強みを生かしたアクションを
どこは譲らず、どこをパートナーに補ってもらうのかを明確にしなければならない。リーン開発やスピードでスタートアップと勝負する代わりに、得意分野の応用にリソースをかけて1を10にできる領域で成長を目指すなど、大企業ならではの戦い方をすることで優位に立てる。0を1にする部分については、M&Aで技術を獲得することも可能である。
複数の企画を平行して実行に移し、芽の出そうなものを選抜して育てるアプローチも企業のスケールを強みとして生かせる方法の一つである。最近の日本企業で見受けられるのは、トップ在任期間の短さである。トップが事業の成功を見届けられる在任期間や自らの結果責任を負う仕組みをつくり、数百から数千億円単位のイノベーション投資をするくらいの覚悟が必要となる。

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