中部国際空港(愛称:セントレア)は、平成17年2月に開港しました。
開港当初は、旧名古屋空港時代と比較し、旅客数の伸び、ネットワークの拡大が順調に進みました。しかし、平成20年の世界的な金融危機「リーマンショック」から始まった大規模な景気後退、平成21年の新型インフルエンザによる航空需要の後退、平成22年の日本航空の経営破綻による路線の大幅な縮小といった社会情勢などの影響を受け、近年は就航便数、航空旅客、航空貨物すべてにわたり減少傾向となっています。
こうした厳しい情勢にも関わらず、地域の一体となった需要促進の取り組みなどもあり、平成22年度は、国際線の就航便数、国際航空旅客が前年度比で増加するという明るい兆しも見られましたが、平成23年3月の東日本大震災の影響などから平成23年度の見通しは不透明さを増している状況です。
中部国際空港では「CS(お客様満足度)世界No.1空港」を目指して様々な活動を行っており、国際空港評議会の2010年「顧客サービスに関する国際空港評価」においては、旅客数規模別(年間旅客数500万人-1,500万人カテゴリー)で第2位を獲得するなど、運営面でも高い評価を得ています。
平成22年に始まった「国土交通省成長戦略会議」に端を発し、関西国際空港・伊丹空港においては、経営統合などさまざまな議論がなされています。中部国際空港においても、国内線便数では、国際線と異なり、平成16年度(中部国際空港開港前:名古屋空港時代)と比較して便数の減少傾向が続いているなどの問題が残っています。中部地域においても、中部国際空港と県営名古屋空港との役割分担などについて地域で協議し、共通の認識を持って中部地域の国際拠点空港である中部国際空港の活性化を進めることが重要であると考えます。
〇国際線 航空旅客数と便数の推移(単位:千人、便/週)
〇国内線 航空旅客数と便数の推移(単位:千人、便/日)
〇国際貨物取扱量と便数の推移(単位:千トン、便/週)
※国際線就航便数は各年度の夏ダイヤピーク時点での便数比較。
(2010年度は1月1日現在)
※国内線就航便数は各年度の4月ダイヤ比較。
(2004年度は夏ダイヤ、2010年度は1月1日現在)
※国際貨物線就航便数は各年度の夏ダイヤスタート時点の便数比較
(2010年度は1月1日現在) ※国際線旅客数、国内線旅客数及び国際貨物取扱量の2010年度の数値は見込み。
中部地域は、主に製造業の拠点として日本の国際競争力を担い、今後の日本の成長を支える重要な地域です。
この中部地域の国際交流・交易の拠点となる中部国際空港は、成田国際空港・関西国際空港とならんで、必要不可欠な日本の社会基盤であります。
「日本の空を世界へ、アジアへ開く」こと、徹底的なオープンスカイの推進は日本の成長戦略の柱の一つです。
東アジアの経済発展を背景として、大幅な増加が予測されている世界の航空需要を、中部国際空港を活用し中部地方で受け止め、日本の成長に繋げることが必要です。このため、中長期の視点に立った中部国際空港の空港機能の整備・拡充は重要な課題です。

出典:平成22年度民間輸送機関連データ集(財団法人日本航空機開発協会)
http://www.jadc.or.jp/3_Forecast.pdf
これまで述べてきたとおり、中部国際空港は重要な国際拠点空港です。こうした拠点となる重要な空港では、利便性が高く、事故に強い、「安全で・安心な・安定した」サービスの提供が欠かせません。このサービスの実現には二本目滑走路整備は不可欠です。世界の主要空港の約9割は複数滑走路を整備しており、複数滑走路は世界のデファクトスタンダードといっても過言ではありません。
一方、現在中部国際空港は滑走路一本で運用しており、空港機能が十分に発揮されていません。代表的な問題点は以下のとおりです。
〇滑走路上での事故などがあった場合、使用できる滑走路がなくなるため、空港を閉鎖せざるを得ないという問題。このため航空会社が路線開設を見送る可能性があり、航空ネットワークが充実しないという問題。
〇滑走路の通常メンテナンスのため、深夜に滑走路を閉鎖することが必要となります。物流産業の特性上、航空貨物便は生産活動の谷間である深夜に毎日離発着する需要が大きいのですが、この航空需要を実現させることが困難であるという問題。
〇近い将来必要となる滑走路の大規模改修時における、空港運用への大きな制約が発生するという問題。
こうした問題を回避するためには、二本目滑走路の整備が欠かせません。
二本目滑走路の整備によって、ご利用者のニーズの高い、ピーク時間帯の便数の制約が劇的に緩和されることも大きなメリットの一つです。
日本経済を支える中部地域の基本的インフラとして重要な中部国際空港を、完全24時間開港の国際拠点空港として活用するため、二本目滑走路の整備は重要な課題であると考えています。
中経連は、開港後間もない平成17年9月にとりまとめた「魅力と活力溢れる中部の実現」において、二本目滑走路の実現を目指すことを提言しました。以来、二本目滑走路の早期実現に向けて、積極的な活動を展開しています。
平成20年4月には、神田真秋愛知県知事(当時)を会長とし、地元関係機関43団体で構成する中部国際空港二本目滑走路建設促進期成同盟会が設立され、地元の一体的な推進体制が整いました。本会も同盟会の一員として、政府への要望活動をはじめ同盟会活動に積極的に参画しています。こうした活動が実を結び、平成20年7月、国土形成計画(全国計画)が閣議決定され、中部国際空港は「・・・完全24時間化を促進し、フル活用ができるよう空港機能の充実を図る。」と位置付けられました。また、政府においては、平成21年度政府予算案において、中部国際空港の国際競争力強化の観点から、完全24時間化に向けた需要拡大に関する調査費を計上しました。二本目滑走路について、その足がかりとなる予算が初めて計上されました。
一方で、需要拡大も重要な課題です。平成13年11月に設立した中部国際空港利用促進協議会(代表理事:三田敏雄会長、髙橋治朗名古屋商工会議所会頭)を通じて、積極的に利用促進活動を展開しています。